夕方に見る夢に たいていうなされる

小さい頃住んでいた家の半径50mから4kmあたり。わたしは幼くもあり現在の年齢でもある。要するに、私の歴史のあらゆる断片がつまっているそんな私。その断片のいずれもの濃度も同一で等価値だ。

混沌とセックスと黒い霧が背景にあって、私は確信を持って何かを望みながら裏山を散歩する。木のうろに大量の魚が詰まっていて出すことも動かすことのできない。一方にはその魚を狙ってやってきた猛禽類がお互いの羽に刺さって同時に死んだその一瞬が時間と重力を無視して凍結している。

私はそれを見て何かを理解する。そして祖母の家に帰る。祖母の家には幼い兄がいて玩具の自動車を動かして遊んでいる。幼い兄に呼びかける祖母の声。瞬間、幼い兄は成長した現在の兄になり、しかし両脚の膝から先がない。兄はここから動き出さなければならないと言う。祖母には兄は幼いままにしか見えず戸惑う。私は兄の歩くのを助け光に満ちた玄関から出て行く。そんな夢を見た。