ポップカルチャーとしての小説「二〇〇二年のスロウ・ボート」

古川日出男のこの小説は結構好きだ。

村上春樹の「中国行きのスロウ・ボート」の”リミックス”。

小6の彼女の背後にいくつもの映画が重層的に折り重なっているっていう視点とか、語り口にノイズが混じりひっかかる感じとか。

そして、個人的には「あとがき」的なものにちょっと感動した。

RMX(リミックス)についての考え方。

彼は「あたりまえのようにポップカルチャーを享受してきた」から音楽のリミックスのように小説をリミックスする。

彼にとって音楽もポテトチップスを食べながら観る映画も、あるいはそのポテトチップスすらも小説と同位置にあるのだろう。

そういうスタンスが何だかいいと思った。

 

二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))

二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))