今日もまた暑かったね

誕生日。それはもちろん特別な日として送られることはなくただ淡々とすぎてゆく。しかし何となく新しい気持ちになる。お正月を20倍くらいに水で薄めたような。やはり私が生まれた日だから。そう認識しているから、うすぼんやりと暗く分厚い雲のために全てのものが灰色じみているなか雨がしとしとと静かに降り始めるあの朝(これはあくまで私の想像でしかない)のことを考える。瞬間に骨が発達し背が伸びる。20数年が走馬灯のように(これは常套句。本当は手持ちカメラで180°思い切りパンをしたその映像のようにーそれには黒い葉の程よく茂った並木が写されていなければならない。)20数年が眼前を駆け抜ける。しかしそのことについては何も考えない。私はただあの静かな雨とぼんやりと鈍った空気のことだけを考える。そして少し寂しい気持ちになる。それだけだ。それがいつもの私の9月23日である。しかし私の妄想をことごとく打ち砕き憎らしいくらいに日差しは私の額に張り付き事物の輪郭を鋭角的に描き出す。残暑が決まって厳しい私の誕生日。