私はやっぱりつけまつげを付けた女にはなれないし、ならない「いづみ語録」

例えば私が、と想像してみる。薄暗い部屋のベッドの上で。

例えば私が、あの黒々としたまつげをつけゴールドのべっとりとしたアイシャドウで囲われたうつろな目をした女(それはまぎれもなく女。少女でも女性でも娘でも母でもなく女。)だったらと。

その想像自体が私があの女と同じ種類の人間にカテゴライズされていないということのまぎれもない証明でもある訳だが。「早さが問題なのだ」とひとりごちてみるがその声はかすかに私の声帯を震わせるだけでいつまでも咥内に留まりつづけいっこうに部屋の空気をゆらめかせない。

例えば18歳のころであったら私は自分の足の指を切るような対、個人との濃密な関わり合いに憧れただろうか。実は今でも憧れるけれど私はやっぱりつけまつげを付けた「女」にはなれないしならない。しかし、それでも、そうであっても疾走感、ドライヴ、濃度、を、憧れ求めつづけてしまう。

結局レイヤーの深いところで求め続けるがしかしそれは絶対に手に入らないという薄い焦燥感それ自体が私のこれまでの数年間とイコールで結ばれていてそれはしばらくは消えそうにない。

 

いづみ語録

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