自転車の速度

夕暮れ、自転車で町を走る。川沿い、小さな橋、並木道、路地裏、を選んで行く。自転車で進む時速と自分の思考のスピードがリンクしていて気持ちいい。道はわたしに選ばれていく、と何となく思う。いつも何かを選びとるのはわたしで、この目で世界を切りとってきた。

ゆっくり流れる小さな水路は細長い水草で緑をしていてその横には古い建物があって、ひび割れた窓ガラスに西日が反射して信じられないくらいにオレンジ色で、それはどこかで見た景色みたいだった。