今日のごはんと失いゆくもの「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス」

風邪をひいて寝込んでいた時に久々に読み返してみた。大学生の時の日本文学の講義で、私はこの本についてのレポートを書いた。今まで失ってきたものとこれから失われるものについて。私はこれまでに(たくさんの人と同様に)色々なものを失ってきたから。喪失感と喪失する予感は私の中に内包されているはずだ。常に。

でも、今回はそれとはまた違うことも感じた。私は何ものにも損なわれないし、もし損なわれたとしてもいつか回復する。完全に取り返しのつかないどうしようもない損なわれ方は絶対にしないという決意のようなもの。

私は1日を過ごすことを目的とする生き方はしない。これは若さの傲慢だろうか。「風の歌を聴け」のころの「僕」はやはり34になった彼よりも敏感でひりひりしていた。

年をとるということは何かを諦め受け入れ、折り合いをつけていくことと重なる。私は喪失感と共にあるけれど、何ものにも損なわれずにいてみせる。ということを、骨付きの豚肉と白米を咀嚼しながら思った。私はしっかり食べる。

 

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

 

 

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)